「僕たちは、僕たちが思っている以上に、視覚障害者の体験する世界を知らない」


会社の帰り。家路を急いでいたら、自動販売機の前で携帯で自分を撮影しながら身振り手振りしている人を見かけた。なにしてるのかな、と思ってはっと気づく。
テレビ電話で手話で会話してるんですね、きっと。
携帯でメールができるようになって、耳が不自由な人には便利になったのかな、と思ってましたが、動画はさらにまた便利ですよね。こういう技術の進歩が、時に切実な不便を解消していることにはっとする。
自分の感じる不便、便利以外気付かずに生きているけれど、世の中の進歩は、どこかでだれかが喜ぶことにあるべきだな、と不思議に感動してしまった。

なんてことを思ったら、また、リリーさんのあの日記を思い出した。
http://www.lilyfranky.com/lily/2003/05/_vol1.html

どれだけ想像してみても、障害を持つ人の現実的な苦痛を理解することは出来ないのだけれど、僕たちは、僕たちが思っている以上に、視覚障害者の体験する世界を知らないのだなと思った。

いつもこの言葉を忘れずにいたいなと思う。
思っている以上に知らないという事実。
障害の有無を超えて、他人のなかで生きるわたしたちが抱くべきはこの自覚であり、知らないこと知ろうと試みる想像力だろう。
この文章を読むたびに、自分への何かの戒めのようなものを感じる。